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未払い残業代問題と解決のヒント

未払い残業代問題と解決のヒント



●問題解決のプロセス
 未払い残業代の問題解決に向けた取組みは、原則としてPDCA(Plan,Do,Check,Action)に基づいて実施すると有効でしょう。基本的なプロセスの概要は以下の通りです。
 「問題解決」とは、基本的には法令を遵守することを意味します。法令を遵守するに当たっては、法令の内容を正しく理解し実践していきますが、その際は出来る限り、誰からみても法令上問題がない常態となるまで取り組む姿勢が大切です。
 「法律通りに残業代を支払う余裕があればとっくに支払っている!」という経営者の声が聞こえてきそうですが、実際に未払い残業代の問題が発生したときには法令に則り支払わざるを得ません。
 残業代の支払能力に課題を抱えている企業は、「残業代の削減対策」も併せて講じていきます。残業代を削減することは簡単なことではありませんが、サービス残業を行っている「今」を前提とするのではなく、改善後の「近未来」を想定して対策を講ずることがポイントです。
 なお法令を遵守するためには、適切な「労働時間の管理」と正確な「残業代の計算」が不可欠です。曖昧な対応は問題解決に至らない場合がありますので、基本的な労働時間の管理方法と残業代の計算方法はしっかりと理解することが大切です。

≪問題の解決に向けた基本的なプロセスの概要≫

  1. 問題解決に向けた(経営者としての)基本的スタンスの確立
  2. 現状の問題点(残業代負担額、労働時間、業務の進め方・効率性など)の把握および法令の理解
  3. 問題の改善に向けた対策および実施計画の検討・立案
  4. 改善対策の実施
  5. 実施結果のフィードバック
  6. 改善対策・実施計画の見直しと実施の繰り返し


●労働時間管理のポイント
 「労働時間を記録していない」、「記録はしているが曖昧」といった運用状況にある企業は、早急に適切な労働時間の管理に着手されるか見直しされることをお勧めします。
 労働時間の記録方法については、一般的に客観性が高く運用の手間がかからないと考えられているタイムカード等を選択するといいでしょう。残業代の計算も、当該記録された労働時間に基づいて行うことが肝要です。
 一方で、タイムカード等に記録された時間がすべて労働時間というわけではなく、始業前の休憩や従業員の私的な時間についてまで残業代を支払いたくないという企業ニーズもあるでしょう。確かにタイムカード等のみでは、正確な労働時間の把握は困難かもしれませんが、労使協力の下、労働時間に関する従業員の意識改革に取り組んだり、厳格な管理体制を整えるなど、一定の対策を講ずることによって、労働時間の適正な把握に近づけることが期待できます。
 ところで、タイムカードと並んで多くの企業で導入されているのが「出勤簿」ですが、出勤簿による労働時間の管理には留意点があります。出退勤について使用者の現認が困難な企業においては、客観的な労働時間の管理ができません。そうすると、一般的に従業員の「自己申告」に基づき会社が照査することになりますが、自己申告制を導入するに当たっては、行政通達「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準(平成13年4月6日付け基発第339号)」により、企業は必要に応じて実態調査を実施するなど一定の措置を講ずる必要があります。
 また、「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針(平成15年5月23日付け基発第0523004号)」では、「労働時間の確認・記録は、使用者自らの現認又はタイムカード、ICカード等の客観的な記録によることが原則」と定めており、昨今の労働基準監督署の定期調査でも、出勤簿からタイムカード等による客観的な記録方法へ変更を要請されるケースがあります。
 総合的に勘案すると特段の理由がない限り、出勤簿よりタイムカード等の方が企業デメリットが少ないといえるではないでしょうか。
 なお、労働時間を適正に把握するに当たっては、責任者を明確にし、チェック体制を整備することが望まれます。



●残業代計算のポイント
 残業代の計算方法は、原則として法令の計算式を用いますが、計算を行うに当たっては留意すべき事項が幾つかあります。例えば、残業代の支給対象者(管理職を支給対象者とするか否か等)、残業代の計算基礎賃金(住宅手当や家族手当等を計算の基礎となる賃金から除くか否か等)、月平均所定労働時間(所定休日数に基づいて算定されているか等)などの取扱いが、後から問題となるケースが少なくありませんので、計算過程における取扱いについては慎重に検討する必要があります。
 労働時間の集計に当たっては、タイムカード等に打刻された時間に基づいて1分単位に累計します。日々集計する際は、15分単位や30分単位等に切り捨てを行わないよう注意しましょう(就業規則等の定めにより、分単位の端数切り捨てを行っているケースが散見されますが要注意です。)。但し、1ヶ月の時間外労働等の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合には、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることは事務簡便を目的としたものとして認められています。また、1ヶ月の時間外労働等の割増賃金の総額に円未満の端数が生じた場合には、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げることが認められています。


続きはこちら >>> 『未払い残業代問題と解決のヒントB』


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文書作成日:2010/10/12

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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