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未払い残業代問題と解決のヒント

未払い残業代問題と解決のヒント



●サービス残業問題を取り巻く状況
 残業代の未払い(いわゆる「サービス残業」)は、今も昔も相変わらず、労務管理における代表的な課題のひとつです。
 毎年厚労省から公表されている「監督指導による賃金不払残業の是正結果」においても、是正による割増賃金の合計額は約200億円、企業平均は約1,200万円(平成20年度実績)と例年と同様の水準で推移しています。
 また、最近では「サービス残業代返還」に関する記事が週刊誌やインターネット等で大きく取り上げられるなど、サービス残業に対する社会的関心が高くなっており、問題が顕在化する可能性は今後一層高まる傾向にあると考えられています。



●未払い残業代の請求問題が起こり得る可能性
 従来、サービス残業が労働問題として取扱われるのは、労働基準監督署から是正勧告を受けたときなど極めて限定的でした。零細企業などは、監督署等の外部機関から指摘を受けて、はじめて賃金未払いの重要性や影響の大きさを知ることも少なくなかったようです。
 最近では労働者の権利意識が高くなっており、自ら監督署へ企業の賃金未払いを申告したり、企業に対し残業代の未払い分を請求するケースが急増しています。その多くが会社と利害関係のない退職者(若しくは退職予定者)といわれており、解雇等その他の労働問題に付随して、残業代の未払い分を請求してきます。

 「当社の従業員の中にそんな大それたことをする者はいない」とタカをくくっている経営者は少なくないと思いますが、労働者の労働相談の増加・多様化に伴い、行政、司法、民間等において迅速かつ簡易に労働問題を解決する仕組みや制度等(紛争解決機関への斡旋の申請、労働審判の申立、ユニオンによる団体交渉など)が整備されてきており、当該制度等を活用する従業員・退職者は増加傾向にあります。
 また近年は、サービス残業代の返還に力を入れている弁護士、司法書士等の専門家の台頭により、残業代返還の訴訟へ発展する事案が増加しているようです。
 このように、企業は監督署の指導だけではなく、様々なルートから未払い残業代の支払請求を受ける可能性があり、もはや他人ごとではない状況にあるといえそうです。



●サービス残業が引き起こす大きな代償
 企業が監督署から未払いの残業代について是正勧告を受けた場合、ほとんどの企業が指摘を受けた対象労働者全員に対し、残業代の未払い分について支払いを行うよう指導されています。また、是正の指摘を受けた部分については、サービス残業以外の法令違反も含めて、企業は労務管理上必要な措置を講じるよう行政指導がなされて、監督署へ改善報告を行うこととなります。
 なお未払い残業代については、賃金請求権の消滅時効期間は2年間ですので、最大2年に遡及して未払いを求められる可能性があります。
 サービス残業が引き起こすリスクとしては、金銭的な負担のほかに、企業に対する従業員の不信感やモラールの低下などが考えられます。これは、新たな労使トラブルへの発展、優良な従業員の定着率の低下、顧客サービスの質の低下などを引き起こし、さらに売上・利益等へ影響を及す可能性もあります。
 つまり残業代の未払いは、法令違反等の問題だけではなく、企業の発展や健全な企業風土の醸成を阻害する要因のひとつであることから、その代償は決して小さくはないと考えられます。
 なお、労働者や合同労組等から個別に請求されたケースについては、上記にかかわらず、各事案に応じて個別の対応が必要となります。



●問題改善のスタートは経営者のスタンスの明確化から
 サービス残業は上述の通り、事業活動に多大なダメージを与えるリスクそのものです。また、その支払義務は今後も継続的に発生し続けますので、サービス残業を行っている企業は、問題が顕在化する前に課題の解決に取り組むことが喫緊のミッションであることは明らかです。
 サービス残業の問題解決に当たっては、解決策や方法論の前に、経営者がサービス残業改善に向けた明確な姿勢を示すことが非常に重要となります。
 実際に対策を講じるに当たっては、従業員を巻き込んで基本的な取り組みから実施していくことになりますので、経営者として強い意思と信念を以て取り組むことが望まれます。


続きはこちら >>> 『未払い残業代問題と解決のヒントA』 


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文書作成日:2010/09/27

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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